Softone MODEL9は3.5mm 3極のシングルエンド(アンバランス)出力しか持たないオーソドックスなヘッドホンアンプです。
そのことがきっかけになって、DAPとイヤホン/ヘッドホンのバランス出力とアンバランス出力についてもう一度考えてみました。



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beyerdynamic XELENTO REMOTEで比較試聴してみます。
4.4mm 5極ケーブルはNOBUNAGA Labs 景光-Sです。



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イヤホンケーブルの差が出ないように、このためだけにわざわざ同一シリーズで3.5mm 3極プラグのNOBUNAGA Labs 鬼丸改-Sを買ってきましたww



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4.4mm 5極バランス出力と3.5mm 3極アンバランス出力の両方に対応しているDAPのHiby R6 Proで比較してみます。
今までは特に深く考えることなく、バランス接続が優れていて、アンバランス接続は劣るみたいに勝手に信じていましたが、果たして!?
結論から言うと、「大した差はない」に尽きます。

バランス接続が一瞬すげぇーって感じるのは、出力が2倍あるのが効いてます。当然ですが音が大きくてパンチがあるように感じます。ただ、あまり効率が良くない大型のヘッドホンになると、そもそもDAPの貧弱なアンバランス出力だとパワー不足なので、バランス出力のほうに有意差が出てくるというのはある気がします。高効率のIEMだとあんまり効果は感じられない感じです。
現にソニーMDR-Z7M2の付属ケーブルで同じ比較をしてみたところ、アンバランス出力で実用十分な音圧は取れるもののかなりボリュームを上げて聴く感じなのに対し、バランス出力だと一気に余裕が出てきます。その分、心理的にも音質が向上したように錯覚します。あ、でもパンチは若干向上したかな。

アンバランス接続だとGND共用のため左右のクロストークが増えて分離が悪くるけど、バランス接続だと左右ドライバーのホット/コールドが独立になってクロストークがなくなる(減る)という意見もあります。
しかしDAPのバランスアンプの場合、レベルの差こそあれ、バランス接続でも左右のクロストークは結構あります。これはLチャネルとRチャネルだけの信号の作成して、それぞれ逆のイヤホンだけ耳に入れて再生してみれば、こんなに聴こえるんだというくらい聴こえてきます。
正直、バランス接続で大幅に改善したというほどの差はなくて、ボリュームを上げるとどっちも衝撃的なくらい盛大にクロストークがあります。
考えてみれば、完璧なるバランス化はそもそも電源から左右独立じゃないとだめですよね。各電源ラインはLDOくらい入っているかもしれませんが、元が共通ですから、左右の音の信号は必ず逆チャネルに影響がでます。インピーダンスゼロの理想電源は存在しないので、これは現実コストだと不可避でしょう。

コモンノードノイズ低減効果は、もうアンバランスでも十分すぎるほどのSNR特性があるので、その差も実際にはわからないです。逆にホワイトノイズはアンプ出力が大きくなる分、バランス出力のほうが感じられるようになったりして、この辺は微妙ですね。

というわけで、ケーブルを変えながら久々に比較試聴して、バランス出力が悪いことはないけど、アンバランス出力で何の問題もない(少なくともポータブルDAPや廉価なデスクトップオーディオ環境では)ということになりました。
流行りのバランス出力ですが、もっと論理的で定量評価をしたうえで一部のメーカーが頑なに「意味はない」と主張しているのも納得できるところです。
私は盲目的にバランス信者でしたけど、マストではないという考えに変わりました。


(追記)
このブログで過去のバランス出力を試した感想を書いた記事を見返しました。
自分でも忘れていますが、なんか当時もあんまりバランス化のメリットを感じていないようです。どっちかというとネガティブに感じていたみたいな書き方です。でも昨今のDAPにはバランス出力があるので、いつの間にかバランス出力上等みたいな気分になったんでしょう。
自分の耳の性能がバランス化を必要としないくらいイマイチってことなんだな、きっと。ww