完成したTRIPATH TA2020-20アンプ(WP-2020AMP-DXG)の試聴と簡易測定をしてみました。



R0000311
小型アンプなので起き場所にも困りません。
電源はスイッチングタイプの12V 5A ACアダプターを使用します。以前持っていたトランス式のシリーズ電源は手放しちゃったので・・・
このアンプから、一瞬あれっ?と思うくらいアナログライクでふくよかな音が出てきました。ぱっと聴きの印象だと、デジタルアンプ臭さが少なくて温かみすら感じさせる音がします。
うーん、不思議だ。
TA2020-20アンプは過去にs.m.s.l SA-36Aと、NFJ FX-AUDIO- FX-202Jの2機種を使っていたことがあります。もう何年も前なので記憶が定かではありませんが、SA-36Aは少し締まりがなく解像感に欠ける音で、FX-202Jはみずみずしさが大きく向上した半面、薄味な音だったと思います。
今回のWP-2020AMP-DXGはデジタルアンプらしいスピード感とアナログアンプっぽい(真空管アンプっぽい?)塊感のような音質です。
ICは同じでも周辺パーツの使い方で仕上がりが変わるんだと思いますが、過去のTA2020-20アンプたちと比較試聴してみたい。



R0000296
簡易的に出力の波形観測をしてみます。
スピーカー端子に7.5Ωのダミー負荷をつけて1KHzサイン波がクリップするぎりぎりの出力です。
電圧が6.4Vrmsですので、パワーは約5.5Wということになります。
TA2020-20は一般的に出力20Wといわれているようですけど、これは10%歪率時の最大出力のスペック23Wからそういわれているんだと思います。
データシート上のスペックでは電源電圧13.5Vで4Ω時12W(0.1%)です。今回は電源電圧12Vでダミー負荷7.5Ωで実測しましたので、5.5Wという値はおかしくないと思われます。



R0000297
この時の入力レベルは0.54Vrmsでした。
ゲインは11.85倍ということになります。
TA2020-20のゲインは12×RF/RIで決まります。WP-2020AMP-DXGのRF(R3、R4)とRI(R1、R2)は20KΩです。これで設計上のゲインは12倍になりますから実測値もほぼ一致します。


R0000298
ところで出力がクリップし始めるとサイン波のピークにこのようなPWMっぽいノイズが現れます。アナログアンプのように単純に山がつぶれるのとは違います。
こういう動作上のちょっとした違いが聴感上の違いになってくるのかもしれません。



R0000301
これは20Hz時の最大出力波形。



R0000302
そして20KHzの時の最大出力波形です。
20Hz~20KHzまでちゃんと確認できました。
面倒くさくて周波数特性確認は省略しましたけど、低域が緩やかに下がり気味で高域に少しディップがあるように感じました。
高域のディップはおそらく出力のLPF定数が4Ω負荷時の設定になっているからだと思います。
8Ωのスピーカー用にするならCo(C10~C13)を0.47μFから0.22μFにするようデータシートに記載があります。
この辺りの違いは好みの差でしょうから、汎用性を考えれば今のままでいいと思います。



R0000304
最大出力時の波形だと気づきにくいですが、常用音量あたり(ここでは1.00Vrms)の1KHzサイン波を確認すると、こんな感じで階段状の歪が乗っていることがわかります。
これがデジタルアンプのスイッチングによるノイズですね。TA2020-20は単純なPWMではないとのことですが、見た目はPWMを復調した波形って感じです。



SV-2A3 (1)
ちなみにアナログアンプ(真空管アンプSV-2A3)で同じレベルの出力波形を観測するとこんなにきれいです。ノイズのノの字も乗っていないきれいなサイン波です。
こうやって比べてしまうとデジタルアンプの音なんか邪道だなぁって思いますが、人の耳はけっこういい加減なもので、電気信号の見た目ほど音が悪くは感じないです。



R0000305
20Hzでもギザギザ。



R0000303
20KHzもやっぱりギザギザ。



R0000306
無音状態で出力に出てくる信号です。実はスペクトラム拡散されてるみたいで単純な周波数の信号ではないんですが、860KHz(58mV)の高周波ノイズが確認できます。
TA2020-20の変調波(スイッチング信号)だと思います。データシートには100KHz~1MHzの範囲で変動すると書かれていますので間違いないですね。
聞こえないレンジとはいえ、PWMスイッチングの漏れ出力がスピーカー端子に出てくるデジタルアンプはやっぱりちょっと気持ち悪いのはまちがいありません。

手軽で省エネ、音も悪くないデジタルアンプは安価なアンプだけでなく国内外メーカー製パワーアンプにも採用なれるようになって久しいです。
音の差は好みの差くらいな違いしか感じませんから、今さら否定することもありません。
でもやっぱりアナログ回路が奏でる確かな音が心に染みると改めて感じたりもします。
真夏になったら熱くて使っていられなくなる真空管アンプですけど、熱い、重い、非効率なアンプでしか聴けない音が私は好きかもしれません。
(WP-2020AMP-DXGアンプもアナログライクな音が出るデジタルアンプで悪くないですよ)