夏用のデジタルパワーアンプを製作しました。



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作ったといってもアンプ基板は完成品を購入しました。
パーツ集めが面倒くさいし。
共立プロダクツのワンダーピュアWP-2020AMP-DXGです。
シンプルなアンプ基板で、入出力と電源をターミナルブロックで接続できるようになっていて使いやすいです。
チャイナ方面のアンプボードだと基板上にボリュームやコネクタ類が実装されていて自由が利かないんですよね。



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WP-2020AMPはその名の通りパワーアンプICとしてトライパスTA2020-20を使っています。
そう、あの伝説のデジタルアンプICです。
オーディオアンプとしては比較的新しい技術のD級アンプですが、浅い歴史のなかでもう伝説になるっておもしろいですね。
2020年現在だと、TIのTPA3116とかTPA3118、STマイクロのTDA7498Eとかを使っているデジタルアンプがほとんどだと思います。
TA2020-20は2009年にIEEE特別レポートで「世界を揺るがした25のマイクロチップ」として選出されたこともあるICですから、そのアーキテクチャが革新的だったことは事実だと思われます。しかしその後は大手半導体メーカーに追いつかれ(真似され?)、競争力を失いました。
一部のマニアがTA2020-20の音質と安価な製品に注目し、10年以上前にブームになって再注目されていきました。
すでにメーカー(TRIPATH社)も消滅しているオールドタイムなTA2020-20のアンプを、その型番にも通ずる2020年の今、改めて聴いてみたくなったのです。



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アンプ自作の難関はケース加工です。
そんなに複雑な加工ではありませんが、ドリルで穴開け、ステップドリルやテーパーリーマーで穴径拡張、バリ取りなどなどで半日要します。
ここらへんですでに根気が・・・



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どうにかこうにか完成しました。
共立プロダクツのWP-2020AMP-DXGはメーカーのデータシートに掲載されているリファレンス回路そのままの設計です。
コンデンサはドイツWIMAのフィルムコン、抵抗はDALEの金属皮膜、パスコンの電解コンデンサにはOS-CONが使われています。出力のインダクタは日本メーカーのデジタルアンプ用DASM1620が使われているなど、ハイグレードなオーディオ部品なので後で交換したくなったりせずに済みます。
このアンプ基板を無改造で使いました。そしてDC電源にはバルクコンデンサとして10000μFの電解コンデンサを入れてみました。多少なりとも音にエネルギー感が増えることを期待して。



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端子類もちょっといいものを採用しました。
アムトランスのRCAジャックとスピーカーターミナルです。
タカチのアルミ押し出しケースにアルミフットもつけて、小さいながら質感がいいです。



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純粋なパワーアンプとしたので、音量コントロールはありません。
このほうがボリュームによる音質劣化の心配がなくてパワーアンプとしてはすっきり。
左は電源スイッチですが、右のスイッチはスピーカー出力をカットするスイッチです。
なんでこんなものを付けたかというと、TA2020-20アンプを自作されている方はみんな電源投入時のポップノイズに悩まされ、その対策に苦労されています。
ポップノイズ防止用のディレイタイマー基板なんかもありますけど、私は自分でON/OFFするスイッチを追加しました。真空管アンプのB電源専用スイッチみたいなもんだと思えば別に違和感はありませんし確実です。
その電源スイッチと出力スイッチにはNKKスイッチズのトグルスイッチを採用しています。
amazonなんかで中華製のトグルスイッチが安く買えますけど、あれ、とてもじゃないですが信用できないシロモノです。ON時の抵抗が数Ωあるのは当たり前ですし、接触不良も多発しますので、オーディオアンプのスイッチに使う気にはまったくなれません。
その点、NKKスイッチズのトグルスイッチはさすがに高品質です。レバーを動かした感触はいいですし、ON抵抗だって確実にテスタの測定限界値以下(要するに0Ω)で安定しています。単なるトグルスイッチでも内部構造は信頼性を高めるいろんな工夫がされていますから、安心して使えます。

測定と試聴に続く・・・