ヤフオクで落札したキングセイコーファースト
出品者はムーブメント写真を掲載していませんでしたし、シリアル番号は不明とのことでした。



R0000863
我慢できずに開けました。
オーバーホールは1年前に実施済とのことでしたが、裏蓋にはH30.11と書き込まれていますから1年半前に実施されたようです。出品者はちょっとサバ読んだ回答ですけどまあいいです。
知りたかったシリアル番号は31xxxxxです。
キングセイコーファーストは1961年~1964年まで製造されたモデルですので、セイコーのシリアル番号ルールに従いこの個体は1963年1月製となります。
同い年じゃなくても同年代ならいいやと思っていたところ、希望通り私と同い年の1963年(昭和38年)製でした。夢とロマンと哀愁が漂うバースイヤーウォッチです。やったー!
心配したムーブメントは錆はなくきれいな状態です。腐食しやすい裏蓋とケース周囲の接触面もダメージはとても少なくていい感じです。
当時の最高級品は諏訪精工舎が製造したグランドセイコーでした。それに対してキングセイコーは亀戸の第二精工舎で製造された時計です。
クロノスがベースになったキングセイコーのムーブメントはテンプのブリッジが両持ちなのです。亀戸は両持ちにこだわっていたようです。他に両持ちのブリッジをもつセイコーの機械はあまりないと思います。
スイス時計のような美しさはないながらも、これはこれでなかなか見ごたえのある機械です。



IMG_0604
Watch Tuner Timegrapherでコンディションを確認してみました。
ちょっと姿勢差が大きめに出る個体のようですが、60年近く前のアンティーク時計としては全く問題なく実用的な精度で動作しています。
パワーリザーブは実測で44時間でした。最後のほうは歩度も不安定ながら44時間は立派ですよね。



R0000836
美しい時計です。
直径35mmの時計は現代だとボーイズサイズか大きめのレディースサイズともいえます。
昭和30年代だとこれでも立派な紳士時計です。
どことなく華奢なつくりが今の時計にはない独特な味わいを醸し出しています。
5振動の儚く優美な秒針の動きがまたたまらないのです。
製造されてから57年。私の手元に来る今日までどういう経験をしてきた時計なのかは知る由もありません。

※キングセイコーネタはさらに続く