前々から気になっていたFull musicの6SN7を入手しました。



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ST管スタイルと金のハカマがステキです。中国人が好きそうなデザイン。
Full musicというブランド名がいいですよね。中華メーカーでありながら他の中華真空管メーカーと違って中国語の英語表記にしなかったのは大正解だと思いますし、オーディオ用真空管ブランドとして「Full music」なんてロマンです。噂によればFull musicの真空管開発には元NECの真空管技術者が関わっていたとか?
Full musicの真空管は少し前までヨドバシカメラなどでも普通に購入できたと思うんですが、いまは取り扱い終了になってます。
出力管はまだ国内ショップでぼちぼち売られているけど、電圧増幅管になるともうぜんぜん在庫がないです。
そんな時はAliexpressでチュゴク本土から購入するわけですが、これまた電圧増幅管だけはまったくといっていいほど取り扱っているショップがありません。
もしかしてFull musicは倒産しちゃったのかな?って思ったけど現存みたいだし、ホームページを確認すればプロダクト情報に6SN7はいまもラインナップにあるんです。
なんで市場に在庫がないのか分かりませんけど、現在ネットで探して買える国内でラストの1ペアを購入しました。



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左はPSVANE 6SN7Cで右がFull music 6SN7です。
どちらも見栄えのするST管で、こうしてみるとPSVANE 6SN7Cは存在感溢れる大きさですな。
Full music 6SN7でも十分立派なサイズなんですけどね。
本来の6SN7はGT管で、RCAなどのビンテージ管は本当にちっこいです。



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SV-2A3に挿してみました。まず見た目はいい感じじゃないでしょうか。
EMISSION LABSの2A35U4Gと並んで立つ姿のバランスがよくて個人的にはツボです。
Full musicのロゴが正面を向かずバラバラな方向になってしまうのは残念です。Full musicの真空管に限ったことではないけど、こんなこと気にするのは日本人だけなのかな?
パワー管や整流管の現行製品には私が使っているEMISSION LABSや、KR AudioEATといったメーカーが、古典球のレプリカとは違う独自の設計でハイエンド真空管をリリースしています。ロシア球や中華球とは違うゴージャスな外観と優れた音質(お値段も)で魅了されますが、電圧増幅管にはそういう現代のハイエンド真空管がありません。
中華球がいろいろアレンジして高級化した真空管をたくさん出していますけど、見た目ゴージャス、中身は普通みたいな球が多いです。
以前私が買ったPSVANE 6SN7Cもそういう位置付けの球のひとつだと思ってます。
普通の6SN7を生産しても実勢価格はたかが知れてますが、見た目をST管にしたりタマネギ球にしたりガラスをスモークにしたり欧州の品番や軍用球の名前にするだけで私のようなおバカさんがお値段数倍でもよろこんで買うわけです。
Full music 6SN7もたしかにそういうウケ狙い系の球であることは間違いないです。しかし他にバリエーション展開してないことと、他社ともヴィンテージ球とも違うオリジナルな形状と、ガラス編組チューブが使われた管内リードなど、意外に丁寧かつまじめな作りの真空管です。



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ヒーターの光の漏れ方が独特です。そして比較的明るく光るのです。
見る真空管としてはなかなかきれいで気に入ってます。
さて、肝心なFull music 6SN7の音がどうなのかです。
聴感上は低域から高域までワイドレンジで、明るい音色と見通しが素晴らしいです。
そしてどこか独特な共鳴音のような響きを感じます。それは耳障りになる共鳴感ではなくて、ストリングスの倍音のようなホールの立体感のような、言葉にしずらいのですが真空管らしい心地よさを感じます。
私が気にする低域は量感がありつつ締まりがあり、全域で解像感も十分ですっきり華やかなサウンドが特徴です。
現行電圧増幅管としてはかなり高額で私の財力だとちょっと試してみるという価格ではないです。心配しつつポチりましたけど、手放したものを含め音の好みに関してはこれまで試した6SN7の中では好印象です。
現時点でかなり入手が難しいのが気になります。まあ電圧増幅管の寿命は長いので心配はしていませんが。