出力管と整流管はEMISSION LABSのメッシュチューブが素晴らしすぎて他を試す気はありません。
電圧増幅管は数種類試してFull music 6SN7が好印象だったので、もうこれでいいやと思ってました。



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なのにPSVANE UK-6SN7を入手しました。
実は以前もPSVANE 6SN7Cというほぼ同じものを使っていました。気に入って使っていたのですが、Full music 6SN7を買ってから似たような形の中華球があってもなぁということで手放しています(軍資金も枯渇気味だったし)。
在宅勤務中はFull music 6SN7を挿したSV-2A3で毎日ずっと音楽を聴いてます。それがある日突然、気に入っていたはずの音にふと微妙な違和感を感じたのです。
ワイドレンジで明るい華やかな音色の奥にうまく表現できない何か、雑味でもなく、音分離の粗さでもなく、音場のずれみたいな、中高域の非連続感みたいな、不思議な何かです。
天気や気圧による自分の体調の変化かなとも考えましたが、どうもすっきりしません。
シャーシを開けて電圧を確認して内部信号波形をオシロでトレースし確認してみたところ、デスクトップでの常用音量で使う限り問題となりそうな目視レベルの歪はありません。
交換当初に感じたFull music 6SN7の聴感上の音の良さは、ワイドレンジ感のある明るい音質からそう感じたものらしいのです。



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このアンプの音はもっと気持ちがいいはず。電圧増幅管を交換する前はこういう違和感はなかったはず。
手放してしまったので比較試聴はできず不確かな記憶ですが「これは違う」と思い始めました。
6SN7系はTUNG-SOL 6SN7GTBしか手元に残してありません。それに挿し換えるとTUNG-SOL 6SN7GTBの音はいたってまとも、厚みもありますし高域の素直な再現性もあります。しかし中域にわずかに感じるカサつき感と、全体のトーンがどこかそっけなくてつまらないんです。
PSVANE 6SN7Cは1年ほど使い続けていてこういうことを感じたことはなかったよなぁと思い出し、手放したことを少し後悔しました。
Full music 6SN7に感じたこのモヤモヤを抱えたままではすっきりしないので、PSVANEの6SN7をもう一度入手することにしました。
実は私、PSVANEの球とはあまり相性がよくありません。
過去にはあんなことこんなことがあって、ここのメーカーの球はどうも印象が良くないのです。
手放したPSVANE 6SN7CはAliexpressで中国国内の業者から直接購入したものでした。
音はよくて2本の特性も揃っていたと思いますが、製造ばらつきのせいかヒーターの加工個体差があって均等に光りません。それがどうしたといわれればその通りなんですが、見た目の不揃いは気になります。



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諸々心配なので、今回はアムトランスさんで「Matched Twin、Matched Pair」のPSVANE UK-6SN7を店頭購入しました。
Matched Twinとは双三極管である6SN7の内部の特性が揃っていることです。
Matched Pairとは2本の6SN7の特性が揃っていることです。
そしてアムトランスでは1点だけの実測ではなく、複数の動作条件上の電圧電流の特性を実測確認してペアにしているとのことなので安心です。
自己バイアスで使う電圧増幅管にペア性は必要性ないはずですが、今回は国内で評価の高いアムトランス保証付きのものを買ってきました。
実際、回路上の電圧も信号レベルも実によく揃っています。これが当たり前なのかもしれませんが、実測値が揃っているのは精神安定上もいいものです。
PSVANEにはST管スタイルの6SN7が何種類もあり、何が違うのかよくわかりません。
以前持っていたものは白いセラミックハカマでした。今回のは黒い普通のハカマで、ピンはどっちも金メッキです。他には赤茶ベースのものもあります。
さらには管内がスモークされてゴールドハカマになった高価なものもあります。
内部の構造は一緒ながら、明らかに違っていたのはプレートの色です。以前持っていた6SN7Cはグレープレートでしたが、今回のUK-6SN7はカーボンが塗布されたようなブラックプレートです。
なんかこれだけでよい音が出てしまいそうな気になってしまいます。



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見た目もよく揃っていて暗い部屋での光り方に差はなく、きれいです。
ロゴがきちんと正面を向くのも日本人的には満足度が高いです。
そしてこの球は明らかにローノイズです。オシロで見るノイズも低いですし、無音時にスピーカーから聞こえるハム系ノイズは小さく、このくらいなら小型スピーカーで使う私の場合は問題ありません。
そして肝心な音質は、これだったなーというのが素直な感想です。
飽きずに1年使い続けていたのはこの音が私にはとても魅力的で耳に染みていたからだと思います。
十分に量感のある低域としっとりしなやかに伸び切る高域、そして何より厚みがありつつも見通しが良くてナチュラルオーガニックな中域の分解能の良さがあると思います。
PSVANE UK-6SN7は見た目だけ演出したST管スタイルの6SN7かと思っていたらなかなか良いものだったと再認識しました。