私のデスクトップに新規導入したTEAC AP-505は期待通りの素晴らしいサウンドです。



R0003985
TEAC NT-505(下)とAP-505(上)が揃いました。



R0003970
用意しておいたXLRバランスケーブルで接続しました。



DSCF0019
音には無関係ながら、VUメーターがかっこいいんですよね。
音楽に合わせてゆらゆらと揺れるレベルメーターは昔からの憧れでした。
パワーアンプっていじるところが何もなくてのっぺりした機器だけど、レベルメーターがあるだけで典型的なパワーアンプの顔になります。
そのAP-505にはHypex社のNCOREパワーアンプモジュールが使われています。
NCOREはここ数年で一気にメジャーになりました。
その前はICEpowerがメジャーだった気がするのですが、いまや気付けばNCOREがその地位を奪取した感じです。
カタログ写真から想像するに、使われているモジュールはNC122MPのティアックチューニングバージョンだと思います。
基板にTUNED BY TEACのシルクが入ってるのはご愛敬です。
AP-505の音はD級アンプらしからぬ滑らかなトーンで、刺々しさがないアナログライクな素晴らしいものです。
仕様上の数値だけ見れば、弁当箱スタイルの中華デジタルアンプでほとんど同じ出力のものが1/10~1/20くらいのお値段で買えてしまいます。
それら中華アンプも値段を考えたら文句なく素晴らしいわけなんですが、やっぱり「ちゃんとした」オーディオ機器メーカーの製品は全然違います。比べたらそりゃあ話にならないくらい・・・
Rogers LS3/5aは自作TA2020-020デジタルアンプでドライブするとスッカスカの音しか出ません。しかしAP-505でドライブすると見違えるような欲動感あふれる音で感動的な鳴りっぷりに変貌します。なんなんですかねぇこのアンプを選ぶスピーカーは。
スピーカーをDALIに変えてももちろんダイナミックに鳴ります。
下は力強く揺るぎのない音で、真空管アンプに比べるとスピーカーの制動が強烈に利いていて、塊感のある音が隆々と鳴るのはさすがです。中高域はウルトラクリアですっきり見晴らしがよく、それでいてただドライな音が無限に出る感じではなく、しっとりとしたスムーズなサウンドです。
スピード感とパンチ力はすさまじくて音楽が生々しいです。
パワーアンプとしてはAP-505はリーズナブルで、上をみたらキリがないのがオーディオの世界です。大きさと価格の割にはという言い訳を抜きにしてもAP-505は買って満足のパワーアンプです。



R0003987
自分の中のお約束なので、アンプの出力を観測してみます。
Hypex NCOREといってもやっぱりデジタルアンプそのものの出力波形です。
1KHzの正弦波がぶっとい・・・



IMG_1054
参考までにこれがアナログアンプが出す1KHzの正しい正弦波波形です。シャープな線で歪が少ない由緒正しいサインカーブです。



R0003989
AP-505で20KHzの出力を見ると、ギザギザ具合がよくわかります。



R0003986
漏れキャリアを見てみました。
NCOREモジュールのスイッチング周波数は約400KHzのようですね。
オシロで同期がとれて静止しますので、スペクトラム拡散はしていないようです。
このキャリア漏れは200mVとけっこう盛大にスピーカー端子に出てます。
デジタルアンプ(クラスDアンプ)の出力波形が太く見えたりギザギザに見えるのはこの漏れキャリア信号のせいです。
1KHzの線が太いから音が力強いとか、20KHzの線がギザギザだからシャープな音がする、なんてことはまったくありませんので。
人の耳に400KHzという高い周波数は全く聞こえませんし、相当に高性能なツイーターでもこんな高い周波数は再生できませんから、結果として何重にもローパスフィルターがかかったのと同じことが起きてちゃんとした音が再生できているわけです。
理屈ではその通りだと理解してもこういう出力波形を目の当たりにすると、デジタルアンプがどんなに音が良くて省エネでスピーカーのドライブ能力が高くてワイドレンジだとしても、レトロテクノロジーなアナログアンプが最後の心のよりどころになってしまうのです。

AP-505は負荷の変化に対する出力の変化がほとんどありません。
ダミーロードを4Ωや8Ωや11Ωに変えても出力レベルはほぼ一緒。周波数特性もまったく変化がありません。負荷変動にほとんど影響を受けません。
負荷を変えると周波数特性がおかしくなってしまう自作デジタルアンプとは全然違います。
ちなみに4Ωのダミーロードを接続して、オシロで波形が潰れる直前の出力は約20Vrmsでした。
出力は100Wということになります。
スペックは130W(4Ω時)ですから電圧は23Vrmsになるわけですが、23Vだと波形は少しずつつぶれだしますから歪率は少し高くなります。
(10Wのセメント抵抗に短時間とはいえ100W食わせたらものすごい発熱と焦げ臭いにおいが立ち込めました。よい子は真似しないように)



【追記】
TEAC Referenceシリーズはデスクトップに置けるコンパクトサイズの貴重なオーディオコンポーネンツシリーズなのですが、どうも流通が不安定です。
yodont-505
ある日、ネットワークプレイヤー・USB-DACのNT-505はヨドバシで販売終了の表示です。別の日に確認すると在庫僅少で数台の在庫があったり。
ヘッドホンアンプ・USB-DACのUD-505も在庫僅少になったり販売終了になったりです。
新製品のフルサイズシリーズUD-701NとAP-701も販売延期の発表がありました。
理由は部品調達の問題ということです。
自動車業界は世界的な半導体供給不足で生産台数の下方修正が続いてますし、オーディオ系だとNT-505やUD-505に使われている旭化成マイクロのAKシリーズDAコンバータが工場火災の影響で生産できない問題が続いています。
半導体だけでなく受動部品の奪い合いは数年前から世界レベルで発生していました。
中華DAPなんかはAKシリーズのDACが調達できず他のDACチップに変更するモデルチェンジをしてますし、デノンAVアンプでも同様の対応が発表されたりしてます。
もしかしたらNT-505とUD-505もAKチップからESSやシーラスロジック製のDACに変更した新製品に変わるのかな? 気になるところです。