KEF LS50 Metaは200時間くらいの慣らし時間が必要らしいです。まだ数10時間のレベルではありますが、初期のインプレを残しておきます。



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このスピーカーはやや大きめの音量で使わないと実力を発揮してくれない感じです。
アンプのボリュームを絞って小音量にしたとき、メリハリが薄れて全体的に縮こまり、音が前に出てきません。中音量以上で使わないと気持ちよさが半減します。その後は爆音レベルまで音量を上げても破綻することなく限界近くまできっちり伸び切ります。
そういう意味でデスクトップのニアフィールドには合わないスピーカーかもしれないです。
基本的な音質はフラットでどこかを誇張したような味付けはしていないようです。
ズンズンドンドンな低音が得意なわけではなく、カリカリキレキレにシャープな高音が持ち味でもなく、正統派Hi-Fiの音です。
量販店の店頭で試聴させてもらうと地味に聴こえるのはそのせいではないかと思います。
最新小型ブックシェルフスピーカーですから上質で十分な低音再生能力はあります。ハイレンジは耳障りにならずクリアな伸びがあります。中域はどこにも埋もれずスムーズで滑らか。



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ウーファーがストロークしても中心部のツイーターユニットは静止している様子をスローシャッターで撮ってみました。
この同軸2WayのUni-Qドライバーの効果で音場の定位は素晴らしいものがあります。
必要以上にシャープネスをかけたような音数の多さを無理やり描き出す粗さは一切なく、自然な分解能とクリアな見通しの良さを感じさせる音です。
上下の音場が狭いと表現しているレビューを目にしました。スピーカーに近いポジションで聴くと普通の2ウェイスピーカーは高域楽器が少し上の方から聞こえるものですが、LS50 Metaはすべての音が同一点から出る同軸ユニットのため、高さ方向が減ったように感じるだけだと思います。
もともと2chステレオは使用環境の反響音など成り行きで高さや前後方向の音場ができているだけです。



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少なくとも私の狭い部屋でのサウンドステージは広く立体的で奥行き感もあって自然です。
目をつぶって音楽に浸った時の没入感はとても優れていると思います。
理想的な点音源から放たれるサウンドステージは素晴らしいです。
LS50 Metaは音源の良し悪しを明確にしてしまうスピーカーです。ちっぽけな音源は聴くに堪えない詰まった音でストレートに鳴ります。
どんな音源もそれなりに聴き応えのある音で鳴らしてしまう演色性はまったくなく、録音が素晴らしいソースに出会うとLS50 Metaはぞくっとするほどの再現性を発揮してビビります。ある意味で落差が激しいスピーカーです。
歪感の少なさについてもLS50 Metaは特筆すべきものがあります。優秀なホール録音のシンフォニーはこんな小型のスピーカー(私のデスク上ではデカすぎだけど)から出る音とは思えない響きとパルス感と空気感が素晴らしいです。ちょっと感動的。
過度にエッジーな音作りをしていないので、高解像度を演出するような安っぽい音はしません。
多くのスピーカーが並んでいるお店での試聴だとこのスピーカーの良さには気づきにくい気がします。
小心者の私は本格試聴室があるようなオーディオショップには入っていけません。聴き比べはヨドバシカメラのように雑然とした売り場で人の目を気にしつつ短時間でするのが精いっぱいです。
そんな私はこれまでに店頭試聴して選んだ結果、何度か失敗しています。どうしても派手目な音のスピーカーがいい音に感じてしまうんですよね。
試聴の末に地味な音のスピーカーを買うのは勇気が必要なんですけど、家ではまったく違う音に聞こえるのですから困ったものです。
正直なところ、店頭試聴でLS50 Metaは一度スルーしてます。可もなく不可もなくで、楽しそうな音もせず、見た目がヘンテコな外観だったので・・・
ちゃんと聴いたらこれは素晴らしく魅力的なスピーカーです。
KEF LS50 Metaは優等生的であり、伝統的でもあり、過去の栄光だけに頼らずポエム的ではなく、定量化され論理的なテクノロジーで説得力があり、かつ最新モード的でもあります。
今は違和感を感じていた見た目を含めて好きになりました。