夏休みだレジャーだ旅行だという盛り上がり皆無なのに、夏になるとカジュアルな腕時計が欲しくなるのは変わらないみたいです。
夏レジャーに備えてというには遅すぎるタイミングではありますが、ツナ缶を買いました。



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セイコー プロスペックス マリーンマスター プロフェッショナル SBBN045です。
このシリーズは国内外のファンから「ツナ缶」の愛称で呼ばれているセイコーの飽和潜水用ダイバーズウォッチです。
SBBN045は昨年モデルチェンジしたクオーツのツナ缶です。
針が往時のセイコーツナ缶針に戻されたのは多くのツナ缶ファンには歓迎されるポイントでしょう。
ダイヤルからMARINEMASTERの文字がなくなってしまいました。これは初代から中期モデルには元々なかった文字です。なので無くすだけならよかったのに、PROSPEXブランドのXマークがつけられました。ここは余計なことしちゃいかんポイントだと思いますよ。
世界中にファンがいっぱいいるセイコーツナ缶に私は特に思入れがあるわけではありません。ダイビングはしないし、そもそも海にも行きません。いや、プールにすらいかないです。ウォーターレジャーには全く興味がないです。海なし埼玉県人なもんで。
それでも夏になるとカジュアルウォッチが欲しくなり、あれこれ考えているとダイバーズウォッチに行き着くんですよね。
ダイバーズウォッチはスポーツウォッチの原点ですから、ある意味で万能なんです。



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セイコーの外胴モデルは何にも似ていない唯一無二の存在感があります。
当初はセイコーファーストダイバー現代デザインモデルのSBDC141が気になりました。いまどき風にサイズダウンしたシンプルなスタイルは、ダイバーズウォッチと聞いて誰もがイメージする普遍的デザインで、日常使いにちょうどいい気がしました。
でもそのデザインのセイコーダイバーズを使うところには、どうしてもある種の卑屈な気持ちみたいなものが見え隠れしてしまいます。
R社のあれが欲しいんだけど買えないしとか、B社のあれに似てるとか、O社のあれも気になるとか、やれプアマンズ×××だのジェネリック版×××といったコンプレックスを背負ってしまう気がするのです。
他と比較して卑屈になったり逆に蔑んだりせず、純粋にセイコーファーストダイバーモデルを楽しめばいいのですが自分の性格上それには自信が持てません。
そのSBDC141は機械式時計です。パワーリザーブが増えたキャリバー6R35が使われています。このキャリバーはどうも評価がイマイチなのもひっかかります。
そもそもコロナ禍で外出しなくなって腕時計を使わなくなり、機械式腕時計はみんな止まっちゃうわけです。昔は近所のコンビニに行くときですらわざわざ腕時計をはめていったのに、止まった時計ばかりになると動かすのが面倒でますます時計を使わなくなるのです。
そんなこんなで最近は手間がかからず充電の心配もしなくていい電池式のクオーツがいいと思うようになりました。
そこでクオーツのツナ缶、SBBN045です。表には出さないけど心のどこかにある卑屈な気持ちとは全く無縁でいられます。
そこにはセイコー外胴ダイバーズだけが作り上げた唯一無二の世界観があります。
無敵の存在。この一言に尽きるんですよね。
そんなクオーツの外胴ダイバーズ。1000m防水のSBBN047ではなく、300m防水のSBBN045にしたのは懐具合の問題だけではなく、過去にごっついツナ缶の日常使いのしずらさに懲りていたからです。



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ケースの大きさもさることながら日常使いにはできるだけ薄いほうが使いやすい。SBBN045はケースサイズは同シリーズ中で一番コンパクトですし、厚さも14.1mmと一番薄くなってます。
マリマスプロフェッショナルの外胴モデルにはメカニカル1000m、クオーツ1000m、クオーツ300mがあり、個人的にクオーツ300mモデルがいちばんまとまりがあってカッコいいバランスだと思ってます。
シリーズ最小といっても十分にごっついスタイルですが、ぎりぎりでシャツの袖に収まるのです。
ダイバーズといえば夏時計ですけど、買ったからには1年中ローテーションで使います。そうなると長袖に収まらない腕時計はちょっとね。
外胴スタイルがゴツさを醸し出しているけど、冷静に確認したらそんなにでっかいサイズではないです。手首に収まるサイズ感だし、G-SHOCKの方がよっぽどデカいわけです。

セイコーツナ缶、見た目のごつさだけでなく質感は相当にハイレベルです。
回転ベゼルを回す感触も素晴らしいですし、ケースの仕上げもなかなかなものがあります。
ケースにはセイコーのステンレス硬化処理技術であるダイヤシールドが施されています。普通のステンレスに比べれば擦り傷などがつきにくい仕上げですが、傷がつかないわけではないです。そしてついてしまった傷は再研磨で消すことができません。ある意味ダイヤシールドは中途半端なんですよね。
ごつい時計はあちこちにガンガンぶつけがちなので、傷をつけないようびくびくしながら使います。
総じて手にした瞬間に「いい時計」だと感じさせるレベルにあります。
近年のセイコーは製品のモデルチェンジに合わせて販路限定化の流れを作っています。SBBN045もセイコーグローバルブランド コアショップ扱いの流通限定モデルとなり、原則として定価でしか買えなくなりました。旧モデルの値引き後の実勢価格と比較したらへたすると1.5倍以上の値上げに見えます。
高くなったことは事実としても、商品さえ価格に見合うものであれば市場は受け入れるでしょうし、そうでなければ淘汰されるだけだと思います。
実物を手にしてみて、個人的には適価の時計だと受け取っています。



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パッと見は質素でどうってことのない尾錠と、SEIKOと刻印された金属遊環の仕上げは丁寧です。安い時計バンドについてくるそれとは全然違います。
数年前に採用されるようになったシリコンバンドはとにかくしなやかではめ心地は良好です。埃がつきやすいという指摘があるようですが私の入手したベルトはさらさらしていて埃を呼んでしまうような感じはありません。もしかしたら改良されたのかもしれません。
このままでもいいんですが、レトロシックなメッシュブレスレットに交換したいなぁと思ってます。



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300m防水モデルはワンピース構造のケースではなく、普通のスクリューバックです。ワンピース構造ほどの防水性はないけど、これで十分でしょう。
SBBN045にはマリマス専用クオーツキャリバー、7C46が使われています。
太くて夜光がたっぷり塗られた重い針をものともせずに動かすハイトルクムーブメントです。秒針の運針は普通のクォーツ時計のようなひ弱で頼りない動きとはまるで違い、ビシッ、ビシッと音が聞こえてきそうなくらい力強く確実で頼りがいのある動きです。
グランドセイコー専用の9F系キャリバーのスッピタッ、スッピタッという精緻に制御された高品位でスムーズな動きとは違いますが、7C46のパワーでなぎ倒していくかのような動きがこれはこれで頼もしく感じます。
iPhoneのスーパースローで秒針の動きを撮影してみると7C46と9F系キャリバーの違いがよくわかります。
9F系キャリバーは1秒の間を複数回に刻んで運針しているのに対し、7C46は1ステップで動かしています。肉眼で見ても、スーパースローで見ても9F系キャリバーの動きは別格です。私は世界最高のクオーツなのではないかと思っています。
一方で7C46が1秒を1ステップで動かすのは普通のクオーツと一緒ですが、動かした後の秒針のブレをきっちり抑え込んでいて跳ね返りやふらつきがとても少なくなっています。
ギリギリのトルクでぺらっぺらの針をやっと動かしているソーラー発電の省エネムーブメントだとこうはいきません。
リューズを操作したときの針の動きは安定していてブレが少なく、何度合わせても針がきっちりインデックスを指さずにずれてしまうイライラはありません(私はけっこう神経質なんです)。
機械式に比べてクオーツはどうしても格下に見られがちですが、量産型機械式ムーブメントが増えた昨今において、1986年に登場してから今日まで35年間も変わらずマリマス専用で使われている7C46キャリバーのような高品質高信頼性クオーツムーブメントはとても頼れる存在です。