MUTT FSR250の納車から1か月が経ちました。
走行距離は1000kmを超え、これまでに日帰りツーリングに4回行きました。
ある程度走ったところでMUTT MOTORCYCLES FSR250の所感です。
最大の魅力はなんといってもカッコいいところ。それに尽きるバイクです。
何をもってカッコいいかは人それぞれです。私はこのスタイルに惚れてしまいましたので、その点については本当に大満足です。写真を見て一目ぼれしましたし、納車後もただひたすらに眺めていられるくらい気に入っています。
MUTTは手の届くカスタムバイクというコンセプトで作られたモデルです。日本車でこのテイストの小型バイクは皆無です。
冷静になって車体各部を確認すれば安価なパーツを集めてセンス良くまとめられたバイクだっていうことにすぐ気づくと思います。
AliexpressやAmazonで検索してみると、これはどう見てもMUTTのパーツだよなーっていう部品がいくつか発見できます。そのまま使っているものもあれば、MUTTのロゴを入れて見栄えをよくしたものもあります。基本的にはそういう汎用パーツマーケットで入手できる部品を集めてデザインされたオートバイなのです。だからダメなのかっていうことはありませんが、ワンオフのカスタムバイクのようなクオリティをMUTTに求めては失望するだけです。カスタムバイクとはいってもMUTTはある程度の台数を生産する量販モデルなのです。
車体サイズは小ぶりです。身長175cmの私がまたがるとバランス的にはバイクが小さく見えると思います。
17インチタイヤのFSR250はシート高も低くて足つきも余裕です。
さらに車重が130kgと軽量。250ccで130kgというのはオフロードバイクくらいしかないと思います。
コンパクトで軽量なのでバイクを持て余す感じが皆無です。どんな場所に入り込んだってどうにでもなると思えますから、出先でちょっと気になったところに気安く走っていけるイージーさが楽しいです。
車体はコンパクトでもポジションには比較的余裕があり、私の体躯程度なら窮屈さはいっさい感じません。
そして「ちょっとそこまで」の用事にもバイクに乗っていこうとは重くてデカい大型バイクでは絶対に思わないので、その点も小型バイクのメリットかと思います。
あとMUTTに限ったことではなく、250ccバイクでのツーリングはどうしたって心身ともに疲れます。
車体は小さいし、パワーが少ないしで、常に全力疾走している感じで疲れるのです。250ccと一口に言っても50馬力近いパワーを発揮する4気筒SSモデルもありますし、ツアラー装備が充実したモデルもあります。走る場所を選ばないオフロードモデルもあります。
そういう中でMUTTはもしかしたらもっともツーリングには不向きなのかもしれません。メーカーのMUTTが「街乗り用小型バイク」といっていますし。
でも私はMUTTでツーリングするのは楽しいです。小排気量だって郊外の道をマイペースで走るのはひたすらに気持ちがいいです。全身で操るオートバイという乗り物を運転する行為そのものがただただ快感だったりしますから。
あとは書き出すとすべてネガティブな感想になってしまうかもしれません。
最高出力21HP、最大トルク20Nmの空冷249cc単気筒エンジンはひたすらに牧歌的。オートバイに非日常の加速度や最高速度を求めるのであれば、絶望的なくらい非力です。
記憶が美化されているだけかもしれませんけど、30年以上前に乗っていた250ccシングルのオフロードバイクはもっと元気だった記憶があります。
バイク屋で納車された直後にMUTTで走り出してすぐ、250ccってこんなに頼りなかったかな?と感じてしまいました。
非力といっても250ccですから困るほど遅いわけではないです。一般道であれば交通の流れをリードできるくらいの速さはありますし、楽しく走るレベルのツーリングなら峠だって全く問題ないです。
高速道路は80~90km/h巡航は十分にこなせますし、100km/hまでなら走り続けられる余力はあると思います。それ以上になるとエンジンを100%使いきる感覚になり、バイクの性能的にもライダーの精神的にも余裕がありません。
もっともネイキッドバイクで100km/h出すとライダーは猛烈な風圧との闘いになって、そういう意味では小型バイクだろうと大型バイクであろうと一緒かなという気がします。
今や貴重な存在ともいえる空冷単気筒エンジン。シングルならではの味わい深いフィーリングを堪能できるかといえば、250ccという小排気量ではなかなかそうはいきません。鼓動感を味わえる回転域で走ることはあまりできず、ただブーンという擬音で表すしかない回転領域で走ることがほとんどです。
定速走行では味気なくても市街地で加減速を繰り返すようなシーンでは楽しさが増します。加速時のスタタタタターという歯切れの良いエキゾースト、スロットルを閉じてシフトダウンしたときのパンパンパンという軽いバックファイヤーが気持ちを昂らせてくれます。
ミッションは5速です。フレキシブルな出力特性のエンジンなので5速でも不満はそれほど感じないです。1速からニュートラルがやや出にくい感じはするものの、シフトフィールはまあまあ良好です。
スズキのエンジンをルーツに持つMUTTのエンジンは、実用車のエンジンそのものです。スポーツ性能は皆無なかわりに確かな設計と十分にこなれたロングセラー高信頼エンジンです。MUTTは中華のコピーエンジンといえども無慈悲に壊れる心配はほとんどしなくていいのではないかと個人的には思っています。
私はかれこれ20年間バイクに乗っていなかったし、比較できるバイクに乗ったこともないため、MUTTのコーナーリングがどうのこうのというレビューが書けません。
FSR250は俊敏なハンドリングではなく、どちらかといえば粘っこいマイルドなコーナーリング特性かなという気はします。変なクセは感じないかわりに、ファンライドな特性でもなく、このあたりはエンジンの特性とあわせてハンドリングも牧歌的です。
サスペンションはなんでこんなに動かないんでしょうか。フロントもリアもダメですね。FSRとAKITAのリアショックは新型のリザーバタンク付きにグレードアップされたことになっていますが、サスの性能という面では従来のものと何も変わってないのではないでしょうか。
単に硬いというのとは違うんですよね。動かないサス、動きが渋いサスなんです。だから乗り味はただただラフなだけ。
初のツーリング日記でもそのへんの感想を書いてますが、1000km走っていくらかサスペンションにもアタリがついて少しは動きだしたかなと思いたいところですが、残念ながらよくなったようには感じないです。
ちょっとヤバいかなと思わざるを得ないのがブレーキ。前後とも利かないです。いくら牧歌的なバイクとはいえ、もう少し立ち上がり鋭く、握り込んだらギューッと利いて欲しいところです。MUTTで唯一の近代装備といっていいABSが舗装路じゃ意味をなさないんじゃないかと思うくらい甘いブレーキなんです。
指摘されまくっているシートの固さもちょっと何とかならないのかと思います。1時間も乗車したらもうケツの痛みで乗り続けられなくなってきます。
ゲルザブを敷けという意見もありますけど、カッコイイMUTTに座布団を付ける覚悟ができません。MUTTはシートの着脱に工具が必要ですので、ツーリング時だけゲルザブの付け外しするのも面倒くさいです。ゲルザブを付けたら付けっぱなしになること間違いなしです。
MUTTの評価が特に難しいのが価格でしょうか。
MUTT FSR250の車体価格は¥794,200です。
MUTTは2019年の国内発売開始から今までにおそらく2回くらい価格改定されていると思います。
ちなみに私は直近の値上げ前に契約しましたので、車体価格は704,000円でした。結構な値上げ幅です。
日本導入当初は価格面でもギリギリで比較検討できそうな価格帯でしたが、今の価格帯となってはもはや価格競争力はまったくないです。
値引きはゼロなので、乗り出し価格は90万円近くにも達します。冷静になって他のモデルと比較してしまったらMUTTを選ぶ理由は何もないです。
ただMUTTは他車と比較して選ぶバイクじゃないんですよね。MUTTが欲しいかどうか、ただその1点のみなんです。
それでも適価はせいぜい60万円台半ばじゃないかと思ったりもします。
性能がーとか、装備がーとか、お値段がーとか、優先することが他にあるのであればこんな怪しい(!)バイクは買うべきではないと正直に思います。絶対に後悔しますから。
まだまだネガティブなことをいくらでも書き連ねられるけど、このあたりでやめておきます。
そんな自分はMUTT FSR250を買って後悔しているのかといえば、そんなことはありません。
契約前に一番恐れた不具合ですが、これまでに走れなくなるような故障はもちろんありませんし、自分で気が付く範囲のマイナーなトラブルも全くないです。この先、機関系はともかく電気系には漠然とした不安感があるのは正直な気持ちですが、この1か月をノートラブルで無事に走ってくれたことで漠然とした不安感は少しずつ薄れてきました。
MUTTは本来のピュアでプリミティブな乗り物であるオートバイそのものなんです。近代的な装備や機能は一切ありません。それがデメリットになっているかといったらそんなことはなくて、むしろこれぞオートバイの原点みたいな潔さが魅力の一つでもあります。
忖度なしで乗るのが楽しいなと思ってます。
(と同時に、私が乗るべきバイクはこれじゃないという思いも抱いてしまいました)
走行距離は1000kmを超え、これまでに日帰りツーリングに4回行きました。
ある程度走ったところでMUTT MOTORCYCLES FSR250の所感です。
最大の魅力はなんといってもカッコいいところ。それに尽きるバイクです。
何をもってカッコいいかは人それぞれです。私はこのスタイルに惚れてしまいましたので、その点については本当に大満足です。写真を見て一目ぼれしましたし、納車後もただひたすらに眺めていられるくらい気に入っています。
MUTTは手の届くカスタムバイクというコンセプトで作られたモデルです。日本車でこのテイストの小型バイクは皆無です。
冷静になって車体各部を確認すれば安価なパーツを集めてセンス良くまとめられたバイクだっていうことにすぐ気づくと思います。
AliexpressやAmazonで検索してみると、これはどう見てもMUTTのパーツだよなーっていう部品がいくつか発見できます。そのまま使っているものもあれば、MUTTのロゴを入れて見栄えをよくしたものもあります。基本的にはそういう汎用パーツマーケットで入手できる部品を集めてデザインされたオートバイなのです。だからダメなのかっていうことはありませんが、ワンオフのカスタムバイクのようなクオリティをMUTTに求めては失望するだけです。カスタムバイクとはいってもMUTTはある程度の台数を生産する量販モデルなのです。
車体サイズは小ぶりです。身長175cmの私がまたがるとバランス的にはバイクが小さく見えると思います。
17インチタイヤのFSR250はシート高も低くて足つきも余裕です。
さらに車重が130kgと軽量。250ccで130kgというのはオフロードバイクくらいしかないと思います。
コンパクトで軽量なのでバイクを持て余す感じが皆無です。どんな場所に入り込んだってどうにでもなると思えますから、出先でちょっと気になったところに気安く走っていけるイージーさが楽しいです。
車体はコンパクトでもポジションには比較的余裕があり、私の体躯程度なら窮屈さはいっさい感じません。
そして「ちょっとそこまで」の用事にもバイクに乗っていこうとは重くてデカい大型バイクでは絶対に思わないので、その点も小型バイクのメリットかと思います。
あとMUTTに限ったことではなく、250ccバイクでのツーリングはどうしたって心身ともに疲れます。
車体は小さいし、パワーが少ないしで、常に全力疾走している感じで疲れるのです。250ccと一口に言っても50馬力近いパワーを発揮する4気筒SSモデルもありますし、ツアラー装備が充実したモデルもあります。走る場所を選ばないオフロードモデルもあります。
そういう中でMUTTはもしかしたらもっともツーリングには不向きなのかもしれません。メーカーのMUTTが「街乗り用小型バイク」といっていますし。
でも私はMUTTでツーリングするのは楽しいです。小排気量だって郊外の道をマイペースで走るのはひたすらに気持ちがいいです。全身で操るオートバイという乗り物を運転する行為そのものがただただ快感だったりしますから。
あとは書き出すとすべてネガティブな感想になってしまうかもしれません。
最高出力21HP、最大トルク20Nmの空冷249cc単気筒エンジンはひたすらに牧歌的。オートバイに非日常の加速度や最高速度を求めるのであれば、絶望的なくらい非力です。
記憶が美化されているだけかもしれませんけど、30年以上前に乗っていた250ccシングルのオフロードバイクはもっと元気だった記憶があります。
バイク屋で納車された直後にMUTTで走り出してすぐ、250ccってこんなに頼りなかったかな?と感じてしまいました。
非力といっても250ccですから困るほど遅いわけではないです。一般道であれば交通の流れをリードできるくらいの速さはありますし、楽しく走るレベルのツーリングなら峠だって全く問題ないです。
高速道路は80~90km/h巡航は十分にこなせますし、100km/hまでなら走り続けられる余力はあると思います。それ以上になるとエンジンを100%使いきる感覚になり、バイクの性能的にもライダーの精神的にも余裕がありません。
もっともネイキッドバイクで100km/h出すとライダーは猛烈な風圧との闘いになって、そういう意味では小型バイクだろうと大型バイクであろうと一緒かなという気がします。
今や貴重な存在ともいえる空冷単気筒エンジン。シングルならではの味わい深いフィーリングを堪能できるかといえば、250ccという小排気量ではなかなかそうはいきません。鼓動感を味わえる回転域で走ることはあまりできず、ただブーンという擬音で表すしかない回転領域で走ることがほとんどです。
定速走行では味気なくても市街地で加減速を繰り返すようなシーンでは楽しさが増します。加速時のスタタタタターという歯切れの良いエキゾースト、スロットルを閉じてシフトダウンしたときのパンパンパンという軽いバックファイヤーが気持ちを昂らせてくれます。
ミッションは5速です。フレキシブルな出力特性のエンジンなので5速でも不満はそれほど感じないです。1速からニュートラルがやや出にくい感じはするものの、シフトフィールはまあまあ良好です。
スズキのエンジンをルーツに持つMUTTのエンジンは、実用車のエンジンそのものです。スポーツ性能は皆無なかわりに確かな設計と十分にこなれたロングセラー高信頼エンジンです。MUTTは中華のコピーエンジンといえども無慈悲に壊れる心配はほとんどしなくていいのではないかと個人的には思っています。
私はかれこれ20年間バイクに乗っていなかったし、比較できるバイクに乗ったこともないため、MUTTのコーナーリングがどうのこうのというレビューが書けません。
FSR250は俊敏なハンドリングではなく、どちらかといえば粘っこいマイルドなコーナーリング特性かなという気はします。変なクセは感じないかわりに、ファンライドな特性でもなく、このあたりはエンジンの特性とあわせてハンドリングも牧歌的です。
サスペンションはなんでこんなに動かないんでしょうか。フロントもリアもダメですね。FSRとAKITAのリアショックは新型のリザーバタンク付きにグレードアップされたことになっていますが、サスの性能という面では従来のものと何も変わってないのではないでしょうか。
単に硬いというのとは違うんですよね。動かないサス、動きが渋いサスなんです。だから乗り味はただただラフなだけ。
初のツーリング日記でもそのへんの感想を書いてますが、1000km走っていくらかサスペンションにもアタリがついて少しは動きだしたかなと思いたいところですが、残念ながらよくなったようには感じないです。
ちょっとヤバいかなと思わざるを得ないのがブレーキ。前後とも利かないです。いくら牧歌的なバイクとはいえ、もう少し立ち上がり鋭く、握り込んだらギューッと利いて欲しいところです。MUTTで唯一の近代装備といっていいABSが舗装路じゃ意味をなさないんじゃないかと思うくらい甘いブレーキなんです。
指摘されまくっているシートの固さもちょっと何とかならないのかと思います。1時間も乗車したらもうケツの痛みで乗り続けられなくなってきます。
ゲルザブを敷けという意見もありますけど、カッコイイMUTTに座布団を付ける覚悟ができません。MUTTはシートの着脱に工具が必要ですので、ツーリング時だけゲルザブの付け外しするのも面倒くさいです。ゲルザブを付けたら付けっぱなしになること間違いなしです。
MUTTの評価が特に難しいのが価格でしょうか。
MUTT FSR250の車体価格は¥794,200です。
MUTTは2019年の国内発売開始から今までにおそらく2回くらい価格改定されていると思います。
ちなみに私は直近の値上げ前に契約しましたので、車体価格は704,000円でした。結構な値上げ幅です。
日本導入当初は価格面でもギリギリで比較検討できそうな価格帯でしたが、今の価格帯となってはもはや価格競争力はまったくないです。
値引きはゼロなので、乗り出し価格は90万円近くにも達します。冷静になって他のモデルと比較してしまったらMUTTを選ぶ理由は何もないです。
ただMUTTは他車と比較して選ぶバイクじゃないんですよね。MUTTが欲しいかどうか、ただその1点のみなんです。
それでも適価はせいぜい60万円台半ばじゃないかと思ったりもします。
性能がーとか、装備がーとか、お値段がーとか、優先することが他にあるのであればこんな怪しい(!)バイクは買うべきではないと正直に思います。絶対に後悔しますから。
まだまだネガティブなことをいくらでも書き連ねられるけど、このあたりでやめておきます。
そんな自分はMUTT FSR250を買って後悔しているのかといえば、そんなことはありません。
契約前に一番恐れた不具合ですが、これまでに走れなくなるような故障はもちろんありませんし、自分で気が付く範囲のマイナーなトラブルも全くないです。この先、機関系はともかく電気系には漠然とした不安感があるのは正直な気持ちですが、この1か月をノートラブルで無事に走ってくれたことで漠然とした不安感は少しずつ薄れてきました。
MUTTは本来のピュアでプリミティブな乗り物であるオートバイそのものなんです。近代的な装備や機能は一切ありません。それがデメリットになっているかといったらそんなことはなくて、むしろこれぞオートバイの原点みたいな潔さが魅力の一つでもあります。
忖度なしで乗るのが楽しいなと思ってます。
(と同時に、私が乗るべきバイクはこれじゃないという思いも抱いてしまいました)
コメント
コメント一覧 (2)
良くも悪くも相当にクセのあるバイクです。車体価格も250ccバイクとしてはかなり高いですし、可能なら一度でも試乗して納得の上で選択されることをおすすめします。
csaitama
がしました
分かりやすい説明、ありがとうございます!
csaitama
がしました