デスクトップにLSX IIを導入して1か月とちょっと経ちました。
100時間も鳴らしていないと思いますが、そこそこ音のほうも落ち着いてきた頃です。



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小さくてもKEF。
なんかかわいいです。オーディオ機材にかわいいという感情を抱いたことはありませんが、なんか愛おしくなるスピーカーです。
同軸ユニットのUni-Qドライバーは定位がよく安心して聴いていられます。
LSX IIのUni-Qドライバーは第11世代です。LS50 Wireless IIよりも後発なのだからMAT搭載の第12世代ドライバーに更新して欲しかったところです。
LSX IIはメディアやSNSでもほぼ絶賛レビューばかりです。メディア関係は忖度含みでしょうけど、個人SNSまで高評価が目立ちます。



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私はどうしても直前まで使っていたLS50 Wireless IIと比べてしまいます。そうなると格が違うのは明らか。ブックシェルフタイプのスピーカーといえども、物量投入され大きさも重さも全く違う上位機には敵わないところだと思います。
ほぼ箱の振動がなかったLS50 Wireless IIに対し、LSX IIはバッフルも側板もわずかとはいえ振動が感じられます。振動があるといってもDIYレベルのエンクロージャーでは絶対無理なくらいガッチリした剛性なので、箱鳴りするようなことはないと思いますが、エンクロージャーの堅牢性には違いがありそうです。
Uni-Qドライバーの世代差とキャビネット構造の差から、比較すればLSX IIにはごくわずかな音の濁りが感じられます。ひたすらに滑らかでしっとりサウンドのLS50 Wireless IIとの違いが分かるポイントです。(とはいえ同時に比較試聴しなければわかりません)
内蔵パワーアンプに関しては、LS50 Wireless IIはミッド/ベースが280W Class Dアンプ、ハイが100W Class ABアンプで(左右合計760W!)、LSX IIはミッド/ベースが70W Class Dアンプ、ハイが30W Class Dアンプです(左右合計200W)。
最大出力の差がかなりありますし、ツイーターのアンプに関してはAB級アンプとD級アンプの違いがあり、このあたりが出てくる音のトーンの差になっている気がします。
パイプオルガンの地響きがするほどの重低音の共鳴はどちらのスピーカーも鳴らしきることができないまでも、LS50 Wireless IIはそれなりに地響きを感じさせる再生力はあります。LSX IIになると雰囲気が少し残るだけでその帯域の音は再現できません。
中高域の音質に関しては、ボリュームを上げていくとLSX IIはワイドレンジ感が減り始め、大音量になってくると音がガチャガチャしてきて徐々にチープさが目立ってきます。
小型スピーカーはどうしても大音量が不得意なものですが、ユニットそのものの違いとアンプや電源含めた「余力」の差ではないかと思います。
LSX IIをLS50 Wireless IIと比較してしまえばいいところがないレビューになってしまいます。



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しかしLSX IIを素直に評価したら世間の高評価は納得です。このサイズのオールインワンシステムスピーカーでこれを凌駕するものを探してくることは不可能です。たぶん。
やや無理している様子が薄っすらと感じられるもののこのサイズのスピーカーが出す音としては低域の質がよく量感もたっぷりしています。中域は混濁せず滑らかで、高域は歪感が少ない自然な伸びがあります。
現代スピーカーですからスピード感と解像感は十分です。分解能の高さはかなり優秀で音数の多い音源を分析的に聴くことだってできてしまいます。
「音のよい録音」といわれるソースを非圧縮で再生したときには、このサイズのスピーカーから出る音なのか!?と軽く驚くと思います。点音源ユニットによる正確な音場表現と大ホールの余韻やスケール感まで机上に置いただけのLSX IIが描き切るのですから感動ものです。
Uni-Qドライバーのアルミコーンユニットはその見た目から硬い音が出そうなイメージです。意外に電子系楽器よりアコースティック系楽器の音のほうが得意で、KEFらしく全域ニュートラルでクセがなくどこか湿度を感じさせる自然な正統派サウンドは健在です。
PC周辺機器としての外付けスピーカーしか知らなかった人がLSX IIを導入したら、それはびっくり仰天することでしょう。きっと今まで聴いていたスピーカーっていったい何だったのかというくらい違いますから。
当家のヲタク娘はけっこういいお値段がするPC外付けスピーカーを何セットも買い替えて、ひとり悦に入っています。その音を聴いてみるとボンボンでシャリシャリの割に伸びのない曇った音で中域はモゴモゴいっているし、定位は不自然でおかしいし、もう世界がぜんぜん違います。
LSX IIはおしゃれインテリアセットのようなデザインでも成り立ちはピュアオーディオスピーカーです。その再現性とサウンドクオリティはレベルが違います。



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過去記事で何度か書いたように、私の部屋は3畳でオーディオをやるには不向きな狭小ルームです。この部屋でLS50 Wireless IIをきちんと鳴らすのはもともと無理がありました。優秀なサウンドプロセッサ(DSP)による音質劣化のないEQで音を調整すればオーディオを楽しむ範囲で問題ないとはいえ、やはり破綻しがち。
その点でLSX IIになれば3畳の部屋にピッタリとは言わないまでも、大きく破綻をすることなく楽しむことができます。狭い部屋でコントロールしやすいのです。
デスクトップに設置したスピーカーでニアフィールドリスニングをするのであれば、LSX IIが最適です。普通の音量(って?)で再生している限り、KEFのHiFiサウンドを十分に堪能できます。
広いリビングを音で充満させるような使い方には不向きでも、6畳前後のごくごく普通の広さの部屋で使うのであれば、LSX IIが良いと思います。
内蔵ネットワーププレーヤやKEF CONNECTアプリの使用感に関してはLSX IIもLS50 Wireless IIもまったく同じです。
結論としては狭小ルームのデスクトップオーディオシステムとしてLSX IIにはとても満足しています。
小さくてかわいいといっても231,000円もします。躊躇するお値段ですけどLSX IIは単純なアクティブスピーカーではなく、ネットワークプレーヤーを内蔵したコンプリートオーディオシステムです。機能的に直接比較するライバルがいないのです。
あれこれ弄りようのない完結システムの潔さが私は気に入っています。
期待以上の音をいとも簡単に楽しませてくれるスピーカーです。